シンガポールの教育制度の特徴とは?問題点、日本との違いも解説

近年、シンガポールの教育制度が世界的に注目されています。学習到達度調査(PISA)では常にトップクラスの成績を誇り、特に数学や科学の分野で優れた成果を上げています。また、英語と母語を併用するバイリンガル教育が義務化されており、グローバルな人材育成に力を入れている点も特徴です。

この記事では、シンガポールの教育制度の概要やメリット、日本との違い、シンガポールで教育を受けるための方法などを解説します。最近では、子どもにシンガポールで教育を受けさせるために、家族での移住を検討している方も増えています。興味があれば、ぜひ記事の内容を参考にしてください。

シンガポールの教育制度の概要

自習のイメージ

まずはシンガポールの教育制度の概要として、基本的な進学の流れを解説します。

シンガポールの教育の流れ

シンガポールの教育制度は、日本と同様に小学校から大学までの段階がありますが、進学ルートは成績に応じて細かく分かれています。

① 初等教育(Primary):6年間

  • 小学校は6年間(Primary 1~6)で義務教育に該当
  • 小学校卒業時にPSLE(Primary School Leaving Examination)という全国統一試験を受験
  • PSLEの成績に応じて、中学での進学コースが決定される

② 中等教育(Secondary):4~5年間

中学(Secondary School)は、PSLEの成績によって以下のように3つの異なるコースに振り分けられます。

  • Expressコース(4年間):成績優秀者向け。大学進学を目指す最短ルート
  • Normal Academicコース(5年間):一般的な学習ペースの学生向け
  • Normal Technicalコース(4年間):実践的な職業訓練を重視

③ 高等教育(Post-Secondary):2~3年間

中等教育終了後、成績に応じて進学先が決定します。主な選択肢は以下のとおりです。

  • ジュニアカレッジ(Junior College / JC):2年間(大学進学準備)
  • ポリテクニック(Polytechnic):3年間(専門技術・職業教育)
  • ITE(Institute of Technical Education):実務・技術教育中心

このように、シンガポールでは成績によって進学ルートが決まる仕組みが採用されている点が、日本の一律教育とは大きく異なります。

能力別教育(ストリーミング制)とは?

シンガポールの教育制度の特徴のひとつが「ストリーミング制(Streaming System)」です。ストリーミング制は、小学校卒業時に全国統一試験(PSLE)を受験し、試験結果に応じて、中学進学時に3つの異なるコースに振り分ける制度です。

しかし、ストリーミング制は「学力による固定化」「教育格差の助長」といった問題点も指摘されており、シンガポール政府は2024年から4年かけてストリーミング制の段階的な廃止を進めています。これにより、より柔軟な学習環境の整備が期待されています。

シンガポールの教育の特徴とメリット

勉強のイメージ

シンガポールにおける教育の主な特徴と、子どもに受けさせるメリットを見てみましょう。

国際的に高い学力水準

シンガポールの学生は、OECDの学習到達度調査(PISA)において数学・科学・読解力などの成績で常に上位にランクインしています。この高い学力水準の背景には、徹底した教育管理と競争意識の強い学習環境があるといえるでしょう。

学校では、理論だけでなく問題解決能力を重視し、実践的な知識の習得を促すカリキュラムが組まれています。また、学習塾(Tuition Centre)に通う学生が多く、学校外での補習も学力向上の大きな要因のひとつです。

バイリンガル教育

シンガポールでは英語を公用語としつつ、中国語・マレー語・タミル語の母語教育を義務付けています。バイリンガル教育の主な目的は、多民族社会の文化を維持しながら、国際的な競争力を高めることです。

授業の大半は英語で行われますが、母語教育を通じて文化や歴史についても学び、アイデンティティを形成する機会が与えられます。この教育モデルにより、シンガポールの学生は高い英語力と母語の両方を習得し、グローバルなキャリアの選択肢を広げられます。

教師の質が高い

教師の質を高めるために、厳格な採用基準が設けられていることも特徴です。教員になるためには、大学卒業者の上位3分の1に入る成績を収める必要があり、政府が提供する専門トレーニングを受けることが必須です。

また、教員向けに定期的な研修制度が行われ、新しい教育技術や指導法を学べます。さらに、政府は優秀な教師に対して昇進の機会を与え、教育の質を維持する仕組みも整えています。これにより、シンガポールの学生は高い指導力を持つ教師のもとで質の高い教育を受けることが可能です。

最先端の教育制度

シンガポール政府は時代の変化に対応するために、教育改革を積極的に進めています。2024年からは、学力による進学ルートの固定化を避けるためにストリーミング制が廃止され、より柔軟な学習環境の整備が進められる予定です。また、21世紀型スキルの習得が重視され、思考力や創造力、問題解決能力を育む教育が強化されています。

特にSTEM(科学・技術・工学・数学)教育が推進され、プログラミングやデジタルスキルがカリキュラムに組み込まれました。さらに、AIを活用した個別指導やオンライン授業の導入により、生徒一人ひとりの学習進度に合わせた教育が実施されています。

シンガポールの教育のデメリットと問題点

海外の図書館

シンガポールの教育制度は国際的に高く評価されていますが、いくつかのデメリットや課題が指摘されているのも事実です。主な問題点を把握しておきましょう。

受験競争が激しい

シンガポールの教育制度では、特に小学校卒業時のPSLE試験が将来の進学先を大きく左右します。この試験の成績によって中等教育のコースが決まり、大学進学の可能性やキャリアの選択肢にまで影響を及ぼすため、多くの家庭が子どもの学習に強いプレッシャーを感じています。

シンガポールの小学生は学校の授業だけではなく、放課後や週末に学習塾に通う生徒が非常に多く、幼少期から過度な学習負担を強いられることになりました。こうした受験競争の厳しさはストレスや精神的な負担の増加につながり、子どもの成長や幸福感に影響を与える恐れがあります。

教育格差の問題

シンガポールでは能力別に分かれるストリーミング制度が長らく続いていましたが、2024年から段階的な廃止が進められています。しかし、それでも成績による進学ルートの固定化が完全になくなるわけではなく、依然として教育格差の問題は残っているのが実情です。

裕福な家庭では高額な学習塾や家庭教師を利用し、子どもに最良の教育環境を提供できるでしょう。しかし、経済的に余裕のない家庭ではこうした追加教育を受けることが難しく、成績格差が広がる傾向にあります。このように、家庭の経済状況が教育機会の不平等につながる問題は、シンガポールの教育制度の大きな課題のひとつです。

教育費用が高い

シンガポールの公立学校は基本的に低コストで教育を提供していますが、外国人が公立学校に通う場合、授業料が高額になります。例えば、永住権を持たない外国人がシンガポールの公立学校に通う場合、年間数十万円以上の学費がかかることもあります。

さらにインターナショナルスクールに通う場合は、年間300〜500万円以上の費用がかかることも珍しくありません。加えて、学習塾や家庭教師を利用する家庭が多いため、教育費の総額はさらに増加します。こうした教育費の高さは外国人家庭にとって大きな負担となるため、シンガポールでの子育てを検討する際の重要なポイントです。

シンガポールと日本の教育の違いを比較

勉強のイメージ

シンガポールと日本の教育制度には、それぞれ特徴があります。ここでは、学力レベルや英語教育、進学システム、受験競争の違いを比較しましょう。

学力レベル

OECDの学力調査によると、シンガポールの学生は数学・科学・英語の分野で世界トップクラスの成績を収めています。日本も上位ですが、数学や科学のスコアではシンガポールにやや及びません。

シンガポールの教育は論理的思考や問題解決能力を重視し、実践的な内容が多いのが特徴です。一方、日本は基礎学力の定着を重視し、幅広い知識を学ぶ点に強みがあります。

英語教育の違い

シンガポールでは英語が公用語であり、学校の授業も基本的に英語で行われます。一方、日本では英語は外国語として学ぶ科目の1つであり、日常的に使用する機会が少ないため実践的な英語力の定着は難しいでしょう。

シンガポールの学生は、小学校から英語と母語(中国語・マレー語・タミル語)のバイリンガル教育を受けるため、英語を自然に使いこなせるようになります。日本では英語教育の開始が遅く、特に会話能力が課題です。

進学システムの違い

シンガポールでは、成績によって進学ルートが細かく分かれています。小学校卒業時のPSLEの結果で中学のコースが決まり、その後の進学先にも影響を与えます。中等教育では、Express、Normal Academic、Normal Technicalの3つのコースがあり、それぞれ異なるカリキュラムが組まれるのが特徴です。

一方、日本では中学・高校の教育課程が比較的一律で、学習内容の違いはそれほど大きくありません。高校受験や大学受験はありますが、小学校卒業時点で進路が決まるシンガポールと異なり、柔軟な学習環境が整っています。

受験競争の違い

シンガポールでは、小学校卒業時のPSLEが進学先を決める重要な試験です。10〜12歳という若い年齢で将来の進路が決まるため、学生や親の負担が大きく、多くの家庭がPSLE対策のために学習塾を利用しています。そのため、受験競争が非常に激しい点が特徴です。

日本では、主要な受験は高校受験と大学受験の2回であり、中学受験をする家庭は一部に限られます。また、日本では「総合型選抜」や「推薦入試」など、試験以外の方法で進学できる制度もあり、一発試験に依存しない選択もあります。この点が、シンガポールの受験制度との大きな違いといえるでしょう。

日本人がシンガポールの教育を受けるには

教育について考える親のイメージ

シンガポールの教育制度は国際的に高く評価され、日本人家庭の間でも現地の学校に子どもを通わせたいというニーズが高まっています。日本人がシンガポールで教育を受けるための方法を見てみましょう。

シンガポールへの留学・進学の方法

日本人がシンガポールで教育を受けるには、短期・長期の留学や現地学校への編入が主な選択肢となります。小学生や中学生の場合、親が就労ビザを取得し、親子で移住するケースが一般的です。高校生・大学生は、交換留学や現地の教育機関への直接入学を選ぶこともできます。

シンガポールにはジュニアカレッジ(Junior College)やポリテクニック(Polytechnic)といった教育機関があり、実践的なスキルを学び、卒業後の進学や就職の選択肢を広げることが可能です。特に、ポリテクニックは専門的な技術を身につけられるため、将来のキャリア形成に役立つでしょう。

外国人向けの教育機関

外国人向けの教育機関として、インターナショナルスクールと公立学校の2つの選択肢があります。

インターナショナルスクールは、日本人向けを含む多様なカリキュラムを提供しており、国際バカロレア(IB)やイギリス式カリキュラムを採用する学校も多く、グローバルな教育を受けることが可能です。

シンガポールの公立学校への編入も可能ですが、入学には試験(AEIS)の合格が必要で、外国人の受け入れ枠は限られています。公立学校の授業は英語で行われるため、日本からの編入生にとって言語の壁が課題となりやすいでしょう。

学生向けのビザについて

シンガポールで長期的に教育を受けるには、学生ビザ(Student Pass)の取得が必要です。

Student Passはシンガポール政府が認可する教育機関に入学することで申請でき、インターナショナルスクールや公立学校が対象となります。学校がビザ申請をサポートするケースも多いため、事前に確認しておくとスムーズです。

また、親子留学の場合、親は就労ビザ(EP、 S Passなど)や長期滞在ビザ(LTVP)などを取得し、子どもとともに滞在できます。

このようにシンガポールでの教育を検討する際は、学校選びとビザ申請の手続きを十分確認することが重要です。シンガポールのビザの種類や申請方法などに関しては、以下の記事も参考にしてください。

>>「シンガポールの就労ビザ|条件と種類一覧、申請の流れ【2025最新】」

近年シンガポールに移住する日本人が増えている

近年、シンガポールに移住する日本人が増えています。その背景には、シンガポールの経済成長やビジネス環境の良さ、給与水準の高さなどが挙げられます。特に、外資系企業やスタートアップ企業がシンガポールに拠点を構えるケースが増えており、日本からの転職者も多く見られます。

また、シンガポールは治安が良く子育て環境が整っていることも、日本人家庭が移住を検討する理由のひとつです。教育の質の高さに加え、医療制度の充実やインフラの整備が進んでいるため、家族連れでも安心して暮らせるでしょう。

シンガポールの給与水準の高さについては以下の記事でも紹介しているので、あわせてご覧ください。

>>「シンガポールの平均年収は?高い給与を狙える職種の共通点も解説」

シンガポール移住ならGood Job Creations

シンガポールでの移住や就職を考えているなら、現地の人材紹介会社を活用する方法が有効です。日本人向けの転職サポートはGood Job Creationsをご活用ください。

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シンガポールへの移住に興味がある方には、以下の記事もおすすめです。
>>「シンガポールに移住・転職するメリットと注意点!ビザや条件も解説」

通訳・翻訳フリーランスの仕事の探し方や求められるスキルとは

フリーランスとして通訳・翻訳を仕事にしている方は世界中に多くいます。主な依頼は、展示会でのブース通訳や商談、出張者同行通訳、医療通訳、セミナー、会議(同時通訳)などです。

この記事では、シンガポールの人材エージェントGood Job Creationsで約3年通訳派遣のコーディネーターをしている筆者の視点から、シンガポールのフリーランス通訳に求められるスキルや仕事の探し方などを解説します。

また翻訳・通訳やフリーランスに限らず、シンガポールでの就業を目指している方は、Good Job Creationsをぜひご活用ください。多岐に渡る求人情報を抱えており、現地在住のスタッフが移住まで徹底的にサポートします。

どのような人が通訳として活躍しているのか

海外の街並み

近年、日本からもシンガポールでの通訳者として当社に登録される方が増えました。

ただし、シンガポールでフリーランス通訳として働けるのは、就労ビザの観点からシンガポール人や永住権保持者、および配偶者ビザを保持し、かつ所属する会社からLOC(Letter of Consent)を発行されている方のみです。

第一線で活躍している方のほとんどが、フリーランスになる前に社内通訳などで何らかの通訳業務を経験した方が多く、自身の専門分野にくわえ幅広い分野の知識をもっています。また、通訳専門の養成学校を卒業し、通訳技能を身につけた方も多くいます。

よく質問されることとして、シンガポールで通訳派遣が多い時期について気になる方が多いようです。シンガポールでは通年何かしらの展示会が行われており、特に10月はFood Japanという日本の食品や食品機械の展示会が開催されるため、多くの通訳者が稼働する時期となります。

なお、商談やセミナー、会議などは通年を通して派遣依頼が多くあります。

通訳になるには何が必要?

勉強している男性のイメージ

通訳・翻訳の仕事をするためには、やはり英語力が必須です。通訳はその場での受け答えが求められるため、豊富な語彙力が求められます。

「通訳=英語力」と思われがちですが、英語力だけで通訳者として活躍するのは難しいことを、コーディネーターを始めてから痛感しました。コーディネーターの視点から見て、必要な語学力以外のスキルには以下が挙げられます。

  • マナー

通訳は、お客様の間に入ってコミュニケーションを手伝う仕事であり、展示会でのブース通訳から商談会など、さまざまなシチュエーションに対応する必要があります。身だしなみや適切なふるまい、フレキシブルな対応ができている方ほど、顧客からのリピート率が上がりやすくなるでしょう。

  • 幅広い知識

基本的に依頼者から事前の予習のために資料を受け取りますが、対話の中でどのような話題になっても対応できる幅広い知識が求められます。

通訳者は仕事の依頼を受けるとできるだけ多くの資料を読み、さまざまな情報を得てから現場に向かいます。また、日々さまざまな角度にアンテナをはり、語彙力や知識を深めることも必要です。

実際に顧客からの依頼では、以前依頼した通訳者は英語力に問題はないものの一般知識が不足しており、日本語の意味がわからずに通訳できない場面があったことから、「幅広い知識をもっている通訳者を探してほしい」と言われたことがありました。

  • 精神的な強さ

プロとして活躍している通訳者は、コツコツと毎日努力されている方がほとんどです。そうはいっても、すべての専門用語を日本語、英語で把握するのは難しいでしょう。

以前、あるパーティーでスピーチの逐次通訳に同行した際、事前に原稿をいただいており通訳者もそれをもとに準備していました。しかし、いざ始まってみるとスピーカーが原稿内容と違う話を始めました。

通訳者は平然と通訳をしており、突然のトピック変更はよくあることだと言います。適切な訳語が出てこない場合、スピーカーが伝えようとしていることと意味が変わらない程度であれば、他の言葉で置き換えて通訳しているとのことでした。

咄嗟に聞いた言葉を整理して人前で伝えることはプレッシャーが大きいため、それを跳ね返す精神的な強さが通訳者には不可欠です。また、顧客の言葉を要領よく整理して、できるだけ近い内容を迅速に伝えなければならないため、相当の集中力と頭の回転の良さが求められます。

シンガポールで通訳・翻訳の仕事を探すなら

海外でフリーランス通訳者として生計を立てるのは、簡単なことではありません。顧客からの評価が高い通訳者はリピート率が高いものの、そうでない場合は収入が安定しにくい職業でもあります。

そのうえで、もし通訳の派遣の仕事やシンガポールでの就業に興味があれば、Good Job Creationsにお気軽にご連絡ください。また、ビザの関係でシンガポールでのフリーランス通訳は難しくてもシンガポールで社内通訳や翻訳のお仕事を探している方もぜひ弊社にご相談ください。

もちろん、通訳・翻訳以外の仕事や、フリーランスとして派遣の登録以外にも、さまざまな業種・職種やご自身に合った働き方での求人紹介が可能です。無料相談も実施しているので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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シンガポールへの移住に興味がある方には、以下の記事もおすすめです。

>>「シンガポールに移住・転職するメリットと注意点!ビザや条件も解説」

ライター紹介

Aiko Takada / Good Job Creations

日本で10年の社会人経験のあとアメリカ、スウェーデンを経てシンガポールで営業アシスタントとして就労中。海外生活14年目突入のなんちゃってシンガポールPR。

海外移住におすすめの国12選!移住する方法や流れ、注意点を解説

近年、リモートワークの普及や多様な働き方の可能性が広がったことなどから、海外移住という選択肢が広まっています。特に、過ごしやすい気候を求める場合や生活費を抑える場合、年収アップを狙うケースなどで移住を検討する方が増えています。

この記事では、移住しやすい国や具体的な移住方法、注意点について解説するので、希望に合った移住先を見つけるための参考にしてください。

年収を上げるために海外移住を検討している方には、シンガポールをお勧めします。シンガポールへの移住なら、現地の人材紹介会社Good Job Creationsをご活用ください。無料相談も実施しています!

海外に移住する日本人が増えている

外務省の統計によると、2023年10月時点で海外に居住する日本人は約129万人にのぼり、前年比では減少したものの、長期的に見ると増加傾向にあります。世界中で進むグローバル化や、インターネットを通じたリモートワークの普及が主な要因です。

特に20~40代の働き盛り世代では、キャリアアップや家族の新たな生活環境を求めて移住を決断するケースが目立ちます。また、コロナ禍以降、治安の良さや医療水準の高い国がさらに注目されるようになりました。

参考:外務省「海外在留邦人数調査統計

海外に移住するメリット

世界地図

海外移住には、以下のようなメリットがあります。

  • 過ごしやすい気候を選べる

過ごしやすい気候の地域で生活することでストレスを軽減し、健康的な生活を送れる可能性がある。

  • 生活費や税金の負担軽減

一部の国では、物価や税率が日本より低く、経済的な負担が減少する。

  • キャリアアップの機会

外資系企業や国際的な環境での勤務により、スキルや経験を磨ける。

  • 新たな成長の可能性

異文化の中で生活することで、視野が広がり自己成長が期待できる。

  • 多様な出会い

国際的な人脈が広がり、ビジネスやプライベートの両面で新たな可能性が生まれる。

これらの利点が、多くの日本人にとって海外移住の魅力となっています。

移住先を選ぶ際の条件

移住を成功させるためには、以下の条件を慎重に検討しましょう。

  • 治安
  • 言語
  • 物価
  • 気候
  • ビザの取りやすさ
  • 仕事の見つけやすさ
  • 医療水準・教育水準

安全で安心して暮らせる地域を選ぶことは最優先ですが、公用語が英語や対応できる言語であること、家賃や生活費などの物価水準が無理のない範囲であることなども重要なポイントです。

あわせて、現地の労働市場や職種の需要を把握し、家族で移住する場合は医療や子どもの教育環境、自分や家族の体調に合った気候の地域を選ぶことも考慮しましょう。

日本人が移住しやすいおすすめの国ランキング

ここからは先述の条件をもとに、具体的に日本人の移住先におすすめの国を12か国紹介します。

  1. シンガポール
  2. マレーシア
  3. オーストラリア
  4. タイ
  5. フィリピン
  6. ベトナム
  7. ポルトガル
  8. ラトビア
  9. チェコ
  10. オランダ
  11. カナダ
  12. アメリカ

それぞれの特徴を比較し、希望の移住先を探す参考にしてください。

1. シンガポール

シンガポール

シンガポールは治安が非常に良く、清潔で整備された都市国家として知られています。所得税率が比較的低いことや、優れた医療制度を受けられることも魅力です。また、英語が公用語のひとつで、言語の壁が低いこともメリットです。

生活費は高い傾向にありますが、住環境や交通網は整っており、給与水準は世界的に見ても高いといえます。グローバル企業が集まるため仕事のチャンスが豊富にあり、年収を上げるために移住する日本人が増えています。

シンガポールへの移住に興味がある方は、以下の記事もご覧ください。

>>「シンガポールに移住・転職するメリットと注意点!ビザや条件も解説」

2. マレーシア

マレーシア

マレーシアは物価が安く、快適な生活を低コストで実現しやすい国です。年間を通じて温暖な気候で、ビザ取得も比較的容易です。「MM2H(マレーシア・マイ・セカンドホーム)」ビザは5年間滞在でき、その後も長期的な更新が可能です。

日本語対応の医療施設も多く、海外移住初心者でも安心でしょう。また、日本からのアクセスも良好で、移住者に人気の国のひとつです。

3. オーストラリア

オーストラリア

オーストラリアは、広大な自然と高い生活水準が魅力です。平均的な物価は高めですが、地域によってはコストを抑えた生活もできるでしょう。

特に充実した教育制度や医療サービスが充実しており、家族連れでも移住しやすいといえます。ビザ制度は厳しい傾向にありますが、スキル不足の業種では外国人の採用に積極的です。過ごしやすい気候と多文化共生の環境が、移住先として高い人気を誇っています。

4. タイ

タイ

タイは物価が安く、食事や住居にかかるコストを抑えられる点が大きな魅力です。都市部ではインフラが発達しており、生活の不便は少ないでしょう。日本人コミュニティも充実しているため、語学に不安がある方でも安心です。

ビザの取得条件も比較的緩やかで、リタイアメントビザなど移住者向けの選択肢が豊富です。温暖な気候と親しみやすい文化が、移住先としての人気を支えています。

5. フィリピン

フィリピン

フィリピンは英語が公用語のひとつで、言語面でのハードルの低さが特徴です。物価が非常に安く、特に地方都市ではさらにコストを抑えた生活ができるでしょう。

温暖な気候とフレンドリーな国民性が魅力ですが、地域によっては治安に注意が必要です。ITや英語教育分野での求人が多く、現地採用の可能性も高い移住先です。

6. ベトナム

ベトナム

ベトナムは急速な経済発展を遂げており、仕事の機会が増えています。物価が非常に安く、コストを抑えながら質の高い生活を実現できるでしょう。

特に、ホーチミンやハノイは外国人向けの住居や施設が整備されており、安心して暮らせます。治安は比較的良好で、英語が通じる環境が増えているため、移住初心者にも適しています。

7. ポルトガル

ポルトガル

ポルトガルは穏やかな気候と親しみやすい文化が特徴です。ヨーロッパ諸国の中でも物価が低く、移住者にとって暮らしやすい環境が整っています。

「ゴールデンビザ」プログラムにより長期滞在が可能です。美しい自然や歴史ある街並みに加え、米や魚介類をよく食べる食文化も日本人にとって移住の魅力となっています。

8. ラトビア

ラトビア

ラトビアは、ヨーロッパの中でも手頃な生活費で暮らせる国です。治安が良く、コンパクトな都市部で効率的な生活が送れます。自然豊かな環境と四季のある気候が、移住者にとって魅力的です。ビザの取得条件も他のEU諸国と比べて柔軟で、移住のハードルが低い国です。

9. チェコ

チェコ

チェコは、美しい街並みと文化的な魅力がある国です。物価は西欧諸国よりも低く、高品質な医療や教育が提供されています。プラハを中心に英語が通じる環境が整い、外国人でも住みやすい都市が多いといえます。ビザの条件も比較的緩やかで、移住初心者にもおすすめです。

10. オランダ

オランダ

オランダは、自由で多様性を重視する国として知られています。英語が広く通じるため、言語の壁が低いのが特徴です。生活費は高めですが、公共交通機関や福祉制度が充実しています。ビザの取得条件も柔軟なため、移住希望者にとって魅力的な選択肢です。

11. カナダ

カナダ

カナダは多文化共生が進んでおり、移住者でも過ごしやすい環境です。高水準の医療や教育が整備されており、家族連れでも安心できるでしょう。都市部の物価は高めですが、地方都市では手頃なコストでの生活も可能です。特定の職種では移住用ビザを取得しやすく、移住者にとってチャンスが大きいといえます。

12. アメリカ

アメリカ

アメリカは広大な国土と多様な生活環境が魅力です。都市部では物価が高いものの、地域によっては手頃な生活ができます。さまざまな職業の機会があり、特にスキルが求められる分野では移住しやすい傾向があります。文化的な自由とキャリアアップの可能性を求める移住者に人気の国です。

海外に移住する方法

海外移住にはいくつかの方法があります。

  • 現地採用
  • 海外駐在員
  • フリーランス
  • ワーキングホリデー

最も一般的なのは現地採用としての就職です。現地で求人を見つけ、労働ビザを取得することで移住できます。

企業の海外駐在の場合は、駐在員に選ばれるかどうかは企業の判断となること、選ばれたとしても駐在先の希望が通るとは限らない点に注意が必要です。フリーランスを目指す場合はどこでも働けるスキルを身につけることから始めましょう。

特定の年齢未満であればワーキングホリデービザで、働きながら生活を楽しむこともできます。ワーキングホリデーが可能かどうか、ビザを取得できる年齢は国によって異なるため、気になる国があれば調べてみてください。

方法ごとに必要な条件や手続きが異なるため、移住先のビザ情報を事前に詳しく確認し、自分に合った方法を選びましょう。

海外移住におすすめの仕事

ビジネス街

海外移住を成功させるためには、需要の高い職種を選ぶ方法が非常に有効です。例えばITエンジニアやデータアナリストは、世界中で需要が高く語学力があれば採用されやすい職種です。また、日本語教師や日本人移住者向けの保育士など、日本語を生かせる職種も人気があります。

観光業や飲食業などのサービス業もチャンスは大いにありますが、語学力や現地の文化への理解が不可欠です。現地での仕事を探すならTOEICやIELTSなどの語学試験や、業種に関連する資格を取得しておくと、職探しをより有利に進められるでしょう。

海外移住しやすい職種は以下の記事にもまとめています。

>> 「シンガポールの平均年収は?高い給与を狙える職種の共通点も解説」

海外移住の流れ

海外移住の基本的な流れは以下のとおりです。

  1. 移住先の選定

キャリアアップ、生活環境の向上など移住の目的を明確にし、物価やビザ取得のしやすさを考慮して移住先を決定しましょう。

  1. ビザの申請

就労ビザ、駐在ビザ、ワーキングホリデーなど、移住目的に適したビザの取得条件を確認し、必要書類を準備して申請。期限が残り少ない場合はパスポートの更新も必要です。

  1. 日本での手続き

市町村役場へ海外転出届を提出します。転出に伴って健康保険が国民健康保険から外れること、年金は海外居住者向けの任意加入制度を利用できることなども把握したうえで、手続きを進めましょう。もしもの時のために海外保険への加入もお勧めします。

  1. 住居の確保

現地での住居を確保します。移住直後はアパートメントや短期賃貸を利用し、現地で生活しながら長期滞在用の物件を探すのもひとつの方法です。

  1. 海外送金の準備

日本にいる間に海外送金手段(Wise、PayPalなど)を確保しておくと良いでしょう。

  1. 渡航後の現地手続き
  • 入国審査・ビザの有効化
  • 住民登録(必要な国のみ)
  • 現地銀行口座の開設
  • SIMカード・インターネットの契約
  • 交通カード・運転免許の切り替え など
  1. 仕事・生活の開始

職場環境に慣れ、語学や文化を学びながら生活に適応。日本人コミュニティを活用すれば人脈が広がるだけでなく、生活する上での有益な情報を得られるかもしれません。

海外移住の注意点

夜の街並み

海外移住には魅力的な面が多い反面、慎重な準備が必要です。

  • 語学力を高めておく
  • 移住先の文化や価値観を理解する
  • ビザの取得・申請は余裕を持って行う
  • できるだけ資金を確保した上で渡航する

まず、語学力が不十分な場合、職場や日常生活でのコミュニケーションに支障をきたすことがあります。仕事だけでなく、病院や役所などの公的手続き、買い物、住居探しなど、言葉が通じないと日常生活が困難になる場面が増えるでしょう。

また、移住先の文化や価値観を理解せずに行動すると、現地の人々とのトラブルにつながる恐れがあります。例えば、宗教やマナー、法律など、日本とは大きく異なるルールが存在する国も多く、知らずに違反すると罰則を受けるケースがあります。移住前に、現地の文化や社会的ルールを学んでおくことが大切です。

さらに、ビザ取得の手続きは国によって異なり、煩雑な申請が必要になることもあります。就労ビザや長期滞在ビザは取得条件が厳しい場合が多く、書類不備や要件未達で却下されるケースも少なくありません。申請に時間がかかることもあるため、渡航前に十分スケジュールを立て、余裕をもって準備しましょう。

加えて、十分な資金を確保しておくことも必要です。特に、物価の高い国では予想以上の出費がかさむ場合があり、収入を確保できないと移住自体が難しくなります。現地の生活費や税金、医療制度なども把握し、経済的な備えを整えておきましょう。

海外移住に興味があるなら

海外移住は新しい環境で生活を始める大きな挑戦ですが、それと同時に多くのチャンスを秘めています。適切な移住先を選び、ビザや生活準備を入念に進めることで、安心して新しいスタートを切れるでしょう。

特に、シンガポールは治安が良く医療水準も高いことから、日本人にとって魅力的な移住先のひとつです。移住を成功させるには、現地の情報を詳しく知ることが鍵となります。仕事探しや生活準備に不安がある方は、現地エージェントの活用がおすすめです。

快適な環境の国に移住して年収を上げるなら、シンガポールがおすすめです。シンガポールの人材紹介会社Good Job Creationsでは日本人スタッフが親身になって、ビザ申請のサポートや移住後の生活までアドバイスします。

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シンガポールへの移住に興味があれば、以下の記事もおすすめです。

>>「シンガポールの就労ビザ|条件と種類一覧、申請の流れ【2025最新】」

また、東南アジアへの移住に関心が高い場合は以下の記事もご覧ください。

>>「東南アジアへの移住先でおすすめの国5選!仕事の探し方も紹介」